今回はWordPressテーマの速さを検証します。12種類のテーマを比較した結果、最も速いテーマが判明しました。
サイトの表示速度はアクセス数にも影響する重要な項目です。はじめから高速で表示されるテーマを選べば、難しい設定をしなくても表示が速いサイトを作ることができます。
「表示スピードが速いとどんなメリットがあるの?」
「面倒な設定をしなくて速いテーマを探している」
「今使っているテーマの表示スピードが遅い」
速いテーマのメリット
表示スピードが速いウェブサイトは、ユーザーに読んでもらえる可能性が高まります。
Googleの調査ではページの表示に3秒以上かかると53%の人が見るのをやめてしまうそうです。
1秒から3秒になると直帰率 (すぐに読むのをやめてしまう割合) は32%上昇し、1秒から5秒になると90%、6秒になると106%、10秒では123%も上昇することが分かっています。
つまり、表示スピードが遅いとせっかく良い記事を書いても読んですらもらえないということです。
もうひとつはGoogleなどの検索エンジンにおける表示順位の改善です。
ページの表示スピードはサイトの評価項目の1つであり、もちろん表示速度が速いページの方が高く評価されます。
Googleから高い評価を受けることで検索結果に表示される順位が上がり、結果的にたくさんの人に読んでもらうことができます。
さらに、表示スピードが速いことは読者の満足度向上にもつながります。
通勤時間や休憩時間など限られた時間の合間に何かを調べようとしてあなたのサイトに行き着いた時に、なかなかページが表示されなかったらイライラしませんか?
表示スピードが速ければすぐに欲しい情報が得られ、他のページも読もうという気になったり、また読みに来ようと思ったりしてくれる人も多くなります。
比較したテーマ12種類
今回表示スピードを比較したテーマは以下の12種類です。人気の無料テーマ、WordPress公式テーマ、僕が使っている有料テーマなどを検証しました。
- Cocoon (コクーン)
- LION MEDIA (ライオン メディア)
- LION BLOG (ライオン ブログ)
- Luxeritas (ルクセリタス)
- Xeory Base (セオリー ベース)
- Xeory Extension (セオリー エクステンション)
- Lightning (ライトニング)
- Simplicity (シンプリシティ)
- LIQUID (リキッド)
- Twenty Seventeen (トゥウェンティ セブンティーン)
- 【有料】JIN (ジン)
- 【有料】Emanon Pro (エマノン プロ)
表示スピードの測定は各テーマの初期設定の状態で行い、使用したサイト、サーバーなど全ての条件は同じです。プラグインは一切入れていません。
表示スピードの検証方法
今回、検証に使用したのはGoogleが提供する「PageSpeed Insights」(ページスピードインサイト)。表示速度を計測する際の定番ツールです。
このPageSpeed Insightsを使って、各テーマの表示速度を5回ずつ計測し、その平均値に基づいてランキングを決定しています。
PageSpeed Insightsでは、モバイル (スマホ) とパソコンでの表示速度を総合点のほか、以下のような指標で表してくれます。
- First Contentful Paint (FCP):テキストまたは画像が初めてペイントされるまでにかかった時間
- Speed Index (SI):ページのコンテンツが取り込まれて表示される速さ
- Largest Contentful Paint (LCP):最も大きなテキストまたは画像が描画されるまでにかかった時間
- Time to Interactive (TTI):ページが完全に操作可能になるのに要する時間
- Total Blocking Time (TBT):タスクの処理時間が 50 ミリ秒を上回った場合の、コンテンツの初回描画から操作可能になるまでの合計時間
- Cumulative Layout Shift (CLS):ビューポート内の視覚要素がどのくらい移動しているかを測定する指標
総合点は100点満点、その他は数値が低いほど表示スピードが速いということになります。
1位「Luxeritas」(100点)
モバイル | パソコン | |
総合点 | 100 点 | 100 点 |
FCP | 1.1 秒 | 0.4 秒 |
SI | 1.4 秒 | 0.4 秒 |
LCP | 1.2 秒 | 0.6 秒 |
TTI | 1.1 秒 | 0.4 秒 |
TBT | 0 ミリ秒 | 0 ミリ秒 |
CLS | 0.220 | 0.049 |
1位に輝いたのは、無料テーマの中でも特に速いと評判の『Luxeritas』(ルクセリタス) でした。
驚くべきことにパソコンだけなくモバイルでも満点となる100点を獲得。他を寄せ付けない圧倒的な結果となりました。
とにかく速いサイトを作りたい人は、Luxeritasがオススメです!
2位「Simplicity」(94点)
モバイル | パソコン | |
総合点 | 91 点 | 97 点 |
FCP | 2.7 秒 | 0.8 秒 |
SI | 2.7 秒 | 0.8 秒 |
LCP | 3.1 秒 | 1.1 秒 |
TTI | 3.0 秒 | 0.8 秒 |
TBT | 26 ミリ秒 | 0 ミリ秒 |
CLS | 0 | 0 |
2位は「寝ログ」を運営するブロガーで「わいひら」さんが開発したテーマ『Simplicity』(シンプリシティ) でした。
その名の通りシンプルなデザインが功を奏してか、モバイル・パソコン共に非常に速い表示速度を記録しました。
現在は後継テーマの『Cocoon』が公開されているため、機能の充実度や今後のアップデートを考えると新たに導入するならCocoonの方が良いかもしれません。
3位「Twenty Seventeen」(94点)
モバイル | パソコン | |
総合点 | 90 点 | 98 点 |
FCP | 2.2 秒 | 0.7 秒 |
SI | 2.5 秒 | 0.8 秒 |
LCP | 3.4 秒 | 1.0 秒 |
TTI | 2.7 秒 | 0.7 秒 |
TBT | 30 ミリ秒 | 0 ミリ秒 |
CLS | 0 | 0.007 |
僅差の3位はWordPressにデフォルトでインストールされている『Twenty Seventeen』(トゥウェンティ セブンティーン)。
モバイル・パソコンの両方で90点以上を獲得しました。さすが公式テーマといったところでしょうか。
しかしテーマとしてはカスタマイズがしにくくデザインも独特なので、選ぶ人は少ないかもしれませんね。
4位「LIQUID」(93点)
モバイル | パソコン | |
総合点 | 90 点 | 95 点 |
FCP | 2.5 秒 | 0.8 秒 |
SI | 2.5 秒 | 0.8 秒 |
LCP | 3.0 秒 | 0.9 秒 |
TTI | 3.0 秒 | 0.8 秒 |
TBT | 44 ミリ秒 | 0 ミリ秒 |
CLS | 0.184 | 0.343 |
4位はWordPressの公式テーマに選ばれている『LIQUID』(リキッド) です。こちらもモバイル・パソコン共に90点以上を獲得しました。
WordPress公式テーマですが、日本製のテーマで日本語にも最適化されています。WordPressのテーマ検索からインストールできます。
無料版は残念ながらカスタマイズ機能が少ないですが、より自由度の高い有料版もあります。
>>LIQUID PRESS (有料版) のダウンロードはこちら
5位「Xeory Base」(92点)
モバイル | パソコン | |
総合点 | 87 点 | 97 点 |
FCP | 2.3 秒 | 0.7 秒 |
SI | 2.3 秒 | 0.8 秒 |
LCP | 3.7 秒 | 1.1 秒 |
TTI | 3.6 秒 | 0.7 秒 |
TBT | 32 ミリ秒 | 0 ミリ秒 |
CLS | 0 | 0 |
5位は『Xeory Base』(セオリー ベース)。WordPressやSEO、Webマーケティングに関する情報を発信するブログ「バズ部」を運営する「株式会社ルーシー」が開発したテーマです。
非常にシンプルなブログ用テーマで、パソコン版では97点という高い数値を記録したものの、モバイル版では読み込みの完了までにやや時間がかかり87点とまずまずの結果に。
それでも十分速いテーマと言えるでしょう。
6位〜12位はこちら
6位「LION BLOG」(90点)
モバイル | パソコン | |
総合点 | 81 点 | 98 点 |
FCP | 2.7 秒 | 0.8 秒 |
SI | 2.7 秒 | 0.8 秒 |
LCP | 4.5 秒 | 1.0 秒 |
TTI | 2.7 秒 | 0.8 秒 |
TBT | 0 ミリ秒 | 0 ミリ秒 |
CLS | 0 | 0 |
惜しくもトップ5入りを逃したのは、無料ながらオシャレなデザインが特徴の『LION BLOG』(ライオン ブログ)。
パソコンでは全体で2位タイトなる好記録だったものの、モバイルで81点とやや伸び悩みました。しかし、実際の体感ではほとんど気にならないレベルです。
7位「Emanon Pro」(89点)
モバイル | パソコン | |
総合点 | 83 点 | 96 点 |
FCP | 3.0 秒 | 0.8 秒 |
SI | 4.1 秒 | 1.3 秒 |
LCP | 3.5 秒 | 1.1 秒 |
TTI | 3.1 秒 | 0.8 秒 |
TBT | 46 ミリ秒 | 0 ミリ秒 |
CLS | 0.220 | 0 |
7位は有料テーマの『Emanon Pro』(エマノン プロ)。企業サイトにも活用できそうな大人っぽい雰囲気が特徴のテーマです。
パソコンでの表示スピードは速いですが、モバイルでは平均的な結果となりました。
Emanon Proは初期デザインの状態でもやや作り込まれているので、それが影響しているかもしれません。
8位「Cocoon」(89点)
モバイル | パソコン | |
総合点 | 81 点 | 97 点 |
FCP | 3.0 秒 | 0.9 秒 |
SI | 3.1 秒 | 0.9 秒 |
LCP | 4.1 秒 | 1.1 秒 |
TTI | 3.3 秒 | 0.9 秒 |
TBT | 0 ミリ秒 | 0 ミリ秒 |
CLS | 0 | 0 |
8位は「Simplicity」と同じく「わいひら」さんが開発している『Cocoon』(コクーン)。
シンプルながら無料テーマとは思えないほど高機能なテーマで、カスタマイズもかなり自由にできます。
パソコンではかなりの高得点となった一方、モバイルでは読み込み完了までに少し時間がかかってしまいました。
9位「Xeory Extension」(88点)
モバイル | パソコン | |
総合点 | 82 点 | 94 点 |
FCP | 2.5 秒 | 0.8 秒 |
SI | 2.5 秒 | 0.8 秒 |
LCP | 2.7 秒 | 0.9 秒 |
TTI | 6.7 秒 | 0.8 秒 |
TBT | 172 ミリ秒 | 0 ミリ秒 |
CLS | 0.809 | 0.595 |
9位は『Xeory Extension』(セオリー エクステンション)。5位の「Xeory Base」と同じく情報サイト「バズ部」を運営する「株式会社ルーシー」が開発している無料テーマです。
シンプルを極めたXeory Baseに比べるとややデザイン性が高い分、表示スピードもやや遅くなってしまいました。
10位「Lightning」(87点)
モバイル | パソコン | |
総合点 | 80 点 | 94 点 |
FCP | 2.7 秒 | 0.8 秒 |
SI | 2.9 秒 | 0.9 秒 |
LCP | 4.3 秒 | 1.2 秒 |
TTI | 3.6 秒 | 0.8 秒 |
TBT | 24 ミリ秒 | 0 ミリ秒 |
CLS | 0.165 | 0.285 |
10位はWordPress公式テーマに登録されている『Lightning』(ライトニング)。ブログだけでなく、企業サイトにも向いている無料テーマです。
Lightningも初期設定で割としっかりとしたデザインが設定されているので、その分表示スピードが遅くなっている部分もあると思います。
LightningはWordPressのテーマメニューの検索ボックスから検索、インストールできます。
11位「LIOM MEDIA」(85点)
モバイル | パソコン | |
総合点 | 74 点 | 95 点 |
FCP | 2.7 秒 | 0.8 秒 |
SI | 2.7 秒 | 0.8 秒 |
LCP | 6.7 秒 | 1.4 秒 |
TTI | 2.7 秒 | 0.8 秒 |
TBT | 0 ミリ秒 | 0 ミリ秒 |
CLS | 0 | 0 |
11位は『LION MEDIA』(ライオン メディア)。兄弟テーマの「LION BLOG」(6位) からは少し離されてしまいました。
無料テーマとしてはオシャレなデザインが特徴ですが、特にモバイルでの読み込み完了が6.7秒とやや時間がかかってしまいました。
設定の調整次第で改善の余地はあるかもしれません。
12位「JIN」(76点)
モバイル | パソコン | |
総合点 | 59 点 | 93 点 |
FCP | 3.1 秒 | 0.8 秒 |
SI | 5.1 秒 | 1.4 秒 |
LCP | 6.6 秒 | 1.3 秒 |
TTI | 6.1 秒 | 0.9 秒 |
TBT | 158 ミリ秒 | 0 ミリ秒 |
CLS | 0.241 | 0.144 |
12位は有料テーマの『JIN』(ジン)。パソコンでは悪くない得点ですが、モバイルでの表示スピードが他のテーマと比べて低いです。
読み込み開始まで3秒、読み込み完了まで6秒というのは、さすがに読む側にとっても少し気になるレベルです。
これには理由があります。JINは初期設定の段階でデザインがかなり凝った設定になっていて、その情報の読み込みに時間がかかってしまうんです
何を隠そうこのブログのテーマはJINを使用しています。一応補足しておくと、色々と調整さえすれば上の画像の通り改善が可能です。
これまでの計測結果と違って写真も多く掲載され、複数のプラグインをインストールした状態での結果なので、単純な比較は出来ませんが、他のテーマと比べて遜色ないスピードです。
JINのデザインや機能はかなり魅力的なのでオススメですが、表示速度の対策は必須と考えたほうが良いでしょう。JINの高速化については別の機会に詳しく解説します。
まとめ
ブログの表示スピードが速いほどユーザーの直帰率が下がり、SEO対策にも有利になります。また、読者の満足度向上にもつながります。
今回表示スピードを検証したテーマの順位は以下の通り (いずれも初期設定、同条件での測定)。
- Luxeritas (100点)
- Simplicity (94点)
- Twenty Seventeen (94点)
- LIQUID (93点)
- Xeory Base (92点)
- LION BLOG (90点)
- Emanon Pro (89点)
- Cocoon (89点)
- Xeory Extension (88点)
- Lightning (87点)
- Lion Media (85点)
- JIN (76点)
Luxeritas (ルクセリタス) が圧倒的な1位を獲得。とは言え、80点代まではそれほど気にならないスピード。
JINは誰でもオシャレなブログが作れる反面、表示スピードの対策は必須です。
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